【過剰な年金改革 】フランスの年金改革と無期限のストライキ【1000ユーロ未満の定年退職は無し】

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【過剰な年金改革 】フランスの年金改革と無期限のストライキ【1000ユーロ未満の定年退職は無し】

去年の12月から年金改革に反対する無期限の交通ストライキの影響で、私もここひと月ほどメトロに乗ることができず、毎日徒歩とバスで小一時間かけて通勤しています。読者の中には年末のパリを訪れて大変な思いをされた方もいるのではないでしょうか。

本記事では、現在フランスで議論されている年金改革について解説します。

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フランスの過剰な年金改革

フランスの過剰な年金改革

【年金改革】発表の裏側【1000ユーロ未満の定年退職は無し】

宣言には効果がありました。

エドゥアールフィリップ首相は、2022年から最低年金額を最低賃金の85%に引き上げることを約束。

しかし実際のところ、この措置は2003年の法律に記載されたものです。
したがって、政府は(最終的に)議会が投票したテキストを適用するだけとなります。

また、遅れを取り戻すにはこの基礎年金を1,023ユーロ(約12万円 )まで引き上げる必要があります。

この増額には遡及効果がないだけでなく新規退職者のみに影響し、彼らがその恩恵を受けるには、42年間にわたり年金を払い続けなければなりません。

2020年1月1日、 ほぼ全く納付金を払っていない人の高齢者連帯手当(最小年金)は、わずか903ユーロ(約11万円)です。

国民にとって非常に有益な改革となる単一スキームへの完全な移行を、政府は2037年まで先延ばしにしました。

これは「祖父条項」(改革を新規採用者から適用し、従来の職員には旧制度の適用を継続する)であり、同じ会社内の従業員を似たようなタスクごとに共存させますが、最年少の権利を減少させます。

【年金改革】世代戦争に燃料を注いでいるのは何か

現在のシステムは、ジャンポール・デレボエ(Jean-Paul Delevoye: 仏政治家)が望んでいた1963年以前ではなく、1975年以前に生まれた(ただし、引退年齢が低い)人々のために維持されています。

1975年以降に生まれ、すでに働いている人々は現在の権利をポイントに変換できますが、その方法はいまだ不明です。

改革は、2022年に働き始める人々を直撃します。
そして彼らはより長く働き、より少ない権利を得ることになるでしょう。

年金改革と女性と母親

「女性は圧倒的勝者になるでしょう」と首相は言いますが、実際には母親が少しだけ損をすることになります…。

彼女たちは、子ども一人につき年金が5%増加し、3人目以降の子どもに対して2%のプレミアムを受け取るようになります。

つまり、子供3人だと17%の増額が父親か母親のどちらかに適用されることになりますが、現在は、父親と母親10%ずつ(2人で20%)増額が適用されています。

さらに、男性は一般的に給与が高いため、カップルが父親の給与への適用を選択し、母親の年金が犠牲になる可能性が高くなります。

母親は、長期間労働するか年金の減額かを選択することが可能。

年金額はキャリア全体から算出されるため(最も給与が高かった25年間ではなく)、減額はさらに大きくなります。社会問題省のデータによると、男性と女性の賃金格差が23%であるのに対し、女性の年金はすでに男性よりも平均で42%低くなっています。

年金改革と過酷労働

首相は仕事の過酷さを考慮して、介護士と看護師に関しては「2年早く定年退職する」か定年前の3年間はパートタイムで働くことを認めると約束しています。

ところが年金が2年引き下げられることによって、一方で取得したものを他方では取り上げられることになります。

この件については、10の基準に基づいて過酷労働を設定した2014年10月の法令を覚えておかなければなりません。

2014年の法令は、2017年のマクロン条例によって疑問視された10の基準のうちの4つを免れました。

一日中削岩機を操作する肉体労働者にメリットはありません。

年金改革と軸年齢または年齢バランス

法的定年年齢(62歳)に問題はありませんが、たとえあなたが必要年数(42年、43年…)をすべて満たしたとしても、もはや完全な年金への権利は与えられません。
64歳まで待たなければならないのです。それ以外の場合、終身割引が適用されます。
Delevoyeのレポートによると、毎年5%(または62歳で退職する場合は10%)が割り引かれます。

年金改革とポイントシステム

現在のシステムでは、権利を得るためには四分の一(または同等期間)ほど働く必要があり、ポイントシステムでは、最初の労働時間がカウントされます。

一見、これは有利に思えるかもしれません。しかし、年金額は給料が最も高かった25年間の平均給与額から計算されるのではなく、若いころのアルバイトを含む全キャリアが考慮されることになります。

さらに、累積ポイント数を知っていても、最終的に受けとる事ができる年金額は予測できません。年金額は、給与で獲得できるポイント数と、退職時のポイントの価値に依存します。

仮に、100ユーロで10ポイントを購入することができ、年金収入が5.50ユーロになると想像してください。現在のプロジェクトでは、ポイントの価値は保証されていません。したがって、政府はこれらの100ユーロと10ポイントで、5.50ユーロの年金を4.95ユーロまで減らすことができます。

また、政府は購入額を投資にまわすことができます。そうなると、100ユーロでは9ポイントしか獲得できません。各ポイントの価値は変動しませんが、支給額は4.95ユーロに減額されます。合計すると、ポイントの利回りは下がります。1960年代半ばに16%だった利益が2000年に7.15%に下がり、2018年には5.99%まで低下しました。これが補助年金(Agirc-Arrco)で起こったことなのです!

年金改革と公務員の年金

補完的なものへの後退は、フランス労働組合連盟(CFDT)やフォース・ウヴリエール(FO)などの組合によって交渉されました。今のところ、公務員が罰っせられる結果となり、公務員の年金額はボーナスを除く過去6か月の平均給与額に基づいて計算され、平均給与額の約75%に相当します。

ポイントシステムを導入するために、今後政府は全キャリアを考慮にいれる予定です。ただし、計算には平均して給与の23%に相当するボーナスが含まれます。この数字は職業に間における極端な格差を含んでいます。したがって、学校教師のボーナスは平均でわずか給与の9%であり、統合による新たな計算方法から生じる損失を十分補うことはできません。崩壊はさらに大きくなります。
ルモンドディプロマティック仏語版
2020年1月号より抜粋して翻訳

定年退職まで年金改革反対ストライキ!

定年退職まで年金改革反対ストライキ!

以上、複雑な「フランスの年金制度」について解説しました。

イルミネーションで飾られたクリスマスシーズンのパリはとても美しいのですが、おととしは黄色いベスト運動があり、去年は年金改革デモが加わって、ああ今年もまた厳しい冬がやってきたなと感じています。

年金改革は反対のストライキがつづくパリの地下鉄

フランスには日本のようにお正月を祝う文化がないため、大晦日の31日は6時で仕事を切り上げて元旦はお休み、1月2日から通常通りに仕事が始まります。

実際、年が明けてから交通ストライキに関してはだいぶ緩和されたのですが、私の最寄り駅と職場間を通るメトロは未だ不通のため、今月は定期を購入するのをやめて毎日徒歩で通勤しています。

先日も朝歩いていると、初老の人たちの集団が街頭でビラを配っていました。受け取ったビラを見ると、来週9日の木曜日に予定されたデモのお知らせでした。

1月8日水曜日には、フランスの国民的セールが一斉に始まります。

いったいどんな人たちがデモをしているのか気になってネットで検索すると、ビラに書かれた文面が、CGTのサイトに掲載されていました。 CGTはフランスの有力な労働組合中央組織。

»フランス労働総同盟【 CGT(セージェーテー) 】
En grève jusqu’à retrait !(定年退職までストライキ!) 

この一文に、定年までストを続けるぞ、そんな意気込みが伝わってきます。
デモ告知サイト(demospher.net)にもすでに彼らが木曜日に予定したデモが掲載されていました。

» demosphere
このサイトには、黄色いベストやパリで行われるほぼ全てのデモ情報が事前に掲載されるので、パリに滞在中の方は交通情報とセットでチェックしておくと良いかもしれません。

年金改革は反対のストライキがつづくパリでバスを待つパリジャン

今回は以上になります。

ガイドブックやファッション雑誌が伝えないパリ暮らしの現実を、少しでもお伝えすることが出来たら幸いです。

» パリ旅行でおすすめのガイドブック【パリでしたい120のことをご案内(ハレ旅)】はこちらです。

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