狂乱の時代【Les années folles】

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今日もパリは夏日でした。

今年は暑くなるのが例年よりも早い気がしますが、暑い夏は好きです。

本記事ではル・モンド・ディプロマティック仏語版6月号の一面記事から「狂乱の時代」をご紹介します。

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狂乱の20年代

アール・デコと狂乱の1920年代


ほとんど悪夢としか言いようがないドナルド・トランプとブレグジット(Brexit)の選挙の嵐は過ぎ去った。

すると、今度はエマニュエル・マクロンの勝利が欧州連合(EU)の首脳陣を歓喜させた。

コメンテーターの一人は「ポピュリズムに対する初の決定的な打撃である」と嬉しそうに発言した。

現在、「労働法の改定」を目指すフランスの新たな政治家たちは、欧州委員会で「新自由主義的政策」を力尽くで通そうとしている。

マクロンの政策の方向性は、前任者オランド氏と同じだが、マクロンはオランドより若く知的で、前任者にはなかった想像力とカリスマ性を持ち合わせているのだ。

マーケティング戦略により有効票に奇跡が起こり、そのわずかな変化が歴史的スイングとなり大胆で新しい「改革への道」を切り開こうとしている。

二つの党派間の断絶が消滅し、欧州メディアは新たな天才の前で歓喜の歌を歌う。

しかし、それもまた幻想でしかない。

実際、1983年以来フランスの左派と右派は、同じ政策を順番に実施してきた。

現在は党の大部分が同じ政権内で集まり、明日には同じ議会に所属する。

明快ではあるが、ただそれだけのことだ。

腐敗したスペイン右派の権力の定着、オランダの新自由主義者の勝利、イギリスとドイツの保守党に約束された新政府。

全ては「政治的な出口を失ったこと」への怒りを鎮静化した可能性を示唆している。

当選後すぐ行われたエマニュエル・マクロンのベルリン訪問は、アンゲラ・メルケル首相が提唱する欧州ガイドラインが精力的に更新されるシグナルである。

ギリシャ人にとっては、老後の年金が9%カットされることになったばかりだ。

専門家たちは13番目か14番目かの議論をしているに過ぎない。

トランプ氏は欧米の首相たちを一瞬不安にさせたが、大統領職の正常化は順調に進んでいる。

旧世界のヘルムスマンの静けさを保証するために必要なのは、マッテオ・レンツィ氏がイタリア政権に復帰することである。

1920年代は、ストライキと革命の時代を経て、ヨーロッパのほとんどの国(特にイギリスとドイツ)の体制が軌道に乗り、コミンテルン(国際共産主義)は「資本主義の安定化」を認めざるを得なかった。

そのために武装解除をしないようにと焦っていたコミンテルン(国際共産主義)は、1928年9月、「部分的で一時的で不安定な」小康状態になると発表。

警告は機械的で、論理的でさえあるように見えた。

「狂乱の20年代」、それは、富裕層の陶酔だった。

その一年後、ウォール街で「ブラック・サースデー」が勃発した。

出典:ル・モンド・ディプロマティック、セルジュ・アリミ
原文より和訳 
仏語原文:https://www.monde-diplomatique.fr/2017/06/HALIMI/57575

狂乱の時代とは【Les années folles】

狂乱の時代とは【Les années folles】

Les années folles

本記事のタイトル『狂乱の時代』とは、第一次大戦終了から世界恐慌までのおよそ10年間、経済的に大きく繁栄した希望に満ちた時代のことをさしています。

フランス語では「 Les années folles」(レザネフォル)、英語では 「The roaring twenties 」。

これらを総称して『狂乱の時代』または『狂騒の20年代』と呼ばれています。

フランスではアールデコ装飾が頂点を極め、大戦の反動で娯楽文化やジャズが花開きました。

まだ20世紀最大の画家ではなく若かったピカソは、キュビスムを脱し、新たな展開を模索していました。

「狂乱の時代」と呼ばれる1920年代のパリは、華やかに浮かれ、新しい芸術運動が次々と起こり、芸術の百花繚乱ともいうべき時代を迎えていたのです。

ジョセフィン・ベーカー

チャールストンダンスを踊るジョセフィンベーカー

チャールストンダンス」でパリジャンを虜にしたアフリカ系アメリカ人女性(後にフランス国籍を取得)ジョセフィン・ベーカーは、『狂乱の時代』を象徴する最も有名な人物の一人でした。

「アクティビスト」としての活動や「中尉」になる等の功績が評価された彼女には、フランスから「レジオンドヌール勲章」を授与されています。

1920年代において、黒人女性のジョセフィン・ベーカーは、とても「革新的」な存在だったのです。

狂乱の1920年代から世界恐慌へ

1929年株価大暴落でウォール街に押し寄せる人々

1920年代に欧米の「富裕層」たちを陶酔させた『狂乱の1920年代』は、経済だけでなく文化的にも、政治的にも大きな革新をもたらしました。

しかし、そんな時代は長く続きませんでした。

1929年、アメリカのウォール街で株価が大暴落します。

大暴落は1日の出来事ではなく1929年10月24日(木)の「ブラックサーズデー」を皮切りに、「ブラックフライデー」、「ブラックマンデー」および「ブラックチューズデー」の4段階にわたり株価が壊滅的に下落。

株価大暴落は1か月間続き、さらに前例のない長期にわたる経済不況「世界恐慌」へと急展開しました。

ブレグジット【Brexit】について

さて、本題にもどります。

ブレグジット(Brexit)といえば、長年話題になりながら噂の域を出なかったまさかの「英国のEU離脱」。

去年6月にイギリスで行われた国民投票では、EU離脱への投票がEU残留への投票を上回り、イギリス国内でも賛否が大きく分かれました。

国際的にも大きな動揺を与えて、為替や株価の下落など経済にも影響し、今回のフランス大統領選ではブレグジットならぬ「フレグジット」(Frexit)さえ話題になりました。

個人的には「フレグジット」(Frexit)、全然ありなのですが…。

もちろんマクロンの政策に「フレグジット」(Frexit)の文字はありません。

仮にそれを目指したところで、フランス経済に深く根付いてしまった「EU政策」から今更後戻りすることはほ不可能でしょう。

でも私は、フランスの際立った伝統文化や芸術、食やファッション、芸術等の、他のヨーロッパ諸国との違いをとても愛しく感じているので、欧州経済や政治、文化の波に同化する必要はないと思うのです。

フランスはフランスであり、必ずしも地理的な理由以外ではヨーロッパである必要を感じないというのが本音です。

最後に

1920年代パリのカフェと女性のファッション【Les années folles】

いかがでしたか❓

本記事では

     ①新大統領ドナルド・トランプとエマニュエル・マクロン
     ②「資本主義の安定化」が見られた1920年代「狂乱の時代」
     ③「狂乱の時代」から「世界恐慌」へ
     ④英国「ブレグジット」と仏国「フレクジット」

について深堀りしました。

「オランド前大統領とマクロン新大統領の政治の方向性はほぼ同じである」というのがセルジュ・アリミ氏の見解です。

そのことからも分かるように、フランスは今、例えば「フレグジット」のような「革新的な変化」望んでいないのかもしれません。

「狂乱の時代」から100年経った2020年代のフランスで欧州が推し進める「新自由主義政策」が軌道に乗った時、世界はどう変化していくのでしょうか。

今回は以上になります。

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