【トマト缶の黒い真実】トマトケチャップが語る資本主義【ジャン = バティスト・マレ】

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本記事では「トマト産業の闇」について深堀りします。

ルモンド・ディプロマティック仏語版6月号一面から「【トマト文明】ケチャップが語る資本主義」について考察しました。

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【トマト文明】トマトケチャップが語る資本主義【ザ・モーニングスター・カンパニー】

【トマト缶の黒い真実】ザ・モーニングスター・カンパニーとケチャップが語る資本主義【ジャン = バティスト・マレ】

私たちの食生活は経済力やシステムを語る。

平凡な濃縮トマトの缶詰には2世紀に渡る資本主義の歴史が詰まっている。

ジャン = バティスト・マレは、新著書の中で四大陸の長期調査を実施し、ユニークな「ジャンクフード」の地政学概要を発表した。

カリフォルニア州サクラメントバレーの中心部にある、テディベアのぬいぐるみとコブラの剥製が飾られたレストランで、ケチャップの瓶を前に男がハンバーガーに食らいつく。

世界のトマト産業を支配するのは「ザ・モーニングスター・カンパニー」のCEO、クリス・ルーファーだ。

世界最大の同社は、僅か3つの工場で地球上で消費される濃縮トマトの12%を生産している。

【トマト缶の黒い真実】ジャン = バティスト・マレ

私はアナーキストみたいなものだ。

当社にはリーダーがいない。役員の代わりにコンピューターによるセルフマネジメントを導入しているから、従業員が会社の資本を管理することはない。

クリス・ルーファー

ザ・モーニングスター・カンパニーはウィリアムズの町工場で、1時間に1350 トンのフレッシュトマトを濃縮している。

洗浄、粉砕、圧力式蒸発作業は完全にオートメーションだ。

自由党のメセナでもあるルーファー氏はどうしても人の手が必要な仕事だけは従業員に任せる。

この施設は世界で最も競争力の高い施設だ。

ダブルトレーラーを引く絶え間ないトラックの列が原料を供給し、70人の労働者が8時間ずつ三交代シフトで操業している。

労働者と管理職のほとんどは機械とコンピュータに置き換えられた。

ここでの「一次加工」処理により、異なる品質の「濃縮物」が入った大きなタンクが製造される。

濃縮物のタンク」は、コンテナに詰められて世界中の海を巡る。そして、ヨーロッパのスーパーで売られる「濃縮トマト」のほとんどを生産するナポリの大規模工場で、「中国産濃縮トマトの樽」の隣に置かれるのだ。

北欧、東欧、イギリス諸島、プロヴァンスのいわゆる「二次加工工場」では、ラタトゥイユ、冷凍ピザ、ラザニアなどの工業食品の原料として、輸入濃縮物(中国産トマトピューレ)を使用する。

他の地域では、セモリナや米に混ぜられた真っ赤で粘り気のあるこの製品は、マフェ(西アフリカ料理)、パエリア、チョルバ(スープの1種)などの伝統料理や人気のレシピに使用される。

濃縮トマトは、資本主義時代の最も身近な工業製品である。サンフランシスコのトレンディなレストランや、アフリカの貧村の屋台で見かけられ、ガーナ北部のようにスプーンで数セントで売られることもある。

【トマト缶の黒い真実】ジャン = バティスト・マレ

全人類が工業用トマトを食べている。

2016年には、トマトの総生産量の約4分の1に当たる3,800万トンのトマトが加工・缶詰化された。

前年には、地球人1人あたり平均5.2kgのトマト加工品を消費した。

「ジャンクフード」や「地中海式食生活」の中心的な食材として、トマトは食や文化の違いを超越する。

禁止事項の対象になることもない。

歴史家フェルナン・ブローデルによると、「小麦・米・トウモロコシの文明」は、今日「トマト文明」に道を譲った。

何十億人もの子供が小さな頃から認識しているあの独特な音をたてながら、ルーファーがハインツの容器を絞ってフライドポテトにケチャップをかけるとき、彼はおそらくソースの成分もその歴史のことも考えていないだろう。

「トマトケチャップ」が赤い色をしているにもかかわらず、トマトの味がしないのは、メーカーによると、平均で砂糖の濃度25%に対し、トマトの濃度は30%~6%の割合しか使われていないからだ。

アメリカでは糖分にコーンシロップ(ほとんどが遺伝子組み換え)を使っている。

この「グルコース-フルクトース」はアメリカ人のあらゆる工業食品に浸透して肥満の流行の原因になり、サトウキビやビートシュガーに比べて安価である。

ルファーの工場では、世界中の加工施設と同様に技術のほとんどはイタリアからもたらされた。

19世紀にエミリア=ロマーニャ州で始まったトマト産業は、世界的な成長を遂げた。イタリア人が19世紀末に移民したことによって、何百万人ものイタリア人がアルゼンチン、ブラジル、アメリカへ缶詰を輸出してトマトの加工食品を広めた。

ファシスト時代のイタリアでは、「鉄の缶詰」は都市文明と機械、戦争をかき立てる「未来派」に触発された「文化革命」の象徴だった。「新人類」の食べ物であるトマトの缶詰は、故郷の土地で栽培されていたものに科学技術、工業生産、保存を組み合わせたものだ。1940年、パルマで第1回「缶詰と包装の自治会展」が開催され、政権のヒエラルキーたちの誇りとなった。そのカタログの表紙には、「AUTARCHIA」の文字が入った缶が描かれている。ファシズムが辿った経済政策「グリーン・オートアルキー」は、赤い産業を合理化して発展させた。

今日、グローバル化した2つのファーストフード、「パスタとピザ」にはトマトが含まれています。

これは、ファシスト政権によ構造化され、開発され、奨励され、資金提供されて発展したトマト産業の遺産の一部なのです。

アルベルト・カパッティ(美食史家)

ルモンド・ディプロマティック仏語版6月
ジャン = バティスト・マレ

【トマト缶の黒い真実】イタリアで出版停止【ジャン = バティスト・マレ著】

▲著者による紹介ビデオも合わせてごらんください。

著者はフランスのジャーナリスト、ジャン = バティスト・マレ。

彼が以前フランスのアマゾン配送センターに臨時工として勤務して執筆した『アマゾン、世界最良の企業潜入記』は、フランスでベストセラーになりました。

世界中で身近な食品であるトマト缶の生産と流通の裏側を初めて明らかにし、フランスほか各国で話題沸騰の衝撃的ノンフィクション。イタリアで出版停止となった一方で、フランスでは権威のあるジャーナリズム賞「アルベール・ロンドル賞2018」を受賞。

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【トマト缶の黒い真実】内容紹介

予告編『トマト帝国』

▲【トマト缶の黒い真実】は、2018年にはドキュメンタリー映画トマト帝国】として日本でも公開

・「中国産」が「イタリア産」になる流通の謎
・「添加物69%」の現場
・腐ったトマトの再商品化「ブラック・インク」とは

すべてはトマト缶をめぐる真実だ。
…それでもトマト缶を買いますか?

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【トマト缶の黒い真実】レビュー

【トマト缶の黒い真実】(ジャン = バティスト・マレ著)とは【イタリアで出版停止】

トマトを通して見るグローバル経済の闇、資本主義経済戦争とその犠牲者たちに焦点をあて、丹念に取材したルポルタージュだ。安さ手軽さの裏にはカラクリがある…。いち消費者として意識改革させられた良書。

AZレメディオス(bookmeter.com)

世界がグローバル化したことによって、とんでもない加工をして輸出する国と、その被害を被る輸入国があると思ったら、いたたまれない。

ペースト状や液状の安い食材全般は特に、改めてどんな流通をしているのか、考えたいと思いました。とても勉強になりました。

日本は食の知識の後進国だと思うんです。食の安全とは何か、この本を読んで、改めてみんな考えられたらと思いました。

読後、しばらく食欲がなくなります(笑)

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「黒い真実」って何? と思って読み始めた。イタリア産トマトの缶詰が、実は中国新疆ウイグル自治区で収穫され加工された原料が、イタリアやアフリカで更に加工されたものなのだ。

しかも、品質は劣悪、添加物の白い粉が大量に混ぜ込まれた代物だと知って、これからは製造販売元をしっかり確認して買おうと思った。

さらに、この業界は中国が圧倒的に市場を支配している。また、イタリアにゲットーという外国移民を農場などで奴隷のように酷使し搾取しているところがある、ということも知って驚いた。グローバル経済の闇を見た。

とよぽん(bookmeter.com)

新疆ウイグル自治区産のトマトが、濃縮されて再加工ペースト化され、イタリア産と銘打たれてアフリカ市場などに売られていくまでの道のり。オートメーション、食品メーカーと食品機械メーカーと商社の3プレイヤー、アフリカからヨーロッパへの不法移民、中国の一帯一路戦略などが絡み合った渾身のノンフィクだった。イタリア発禁。

kota(bookmeter.com)

【トマト缶の黒い真実】を読んだ多くの人が一消費者として意識改革をさせられ、これからは製造販売元をしっかり確認してから買おうと思ったり、食の安全とは何か、改めて考えるようになったと言います。

【トマト缶の黒い真実】を読んで、何を食べれば良いか分からなくてしまった人もいるかもしれません。

こちらは100%長野県産のトマトから作られた「ナガノトマト」のケチャップです。

同じく100%長野県産のトマトから作られたストレートのトマトジュースも美味しそう。無塩だから料理に使えそうですね。

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