【フーケッツが燃えた】破壊、略奪、放火…第18週目の黄色いベスト運動【パリのデモ】

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【フーケッツが燃えた】破壊、略奪、放火…第18週目の黄色いベスト運動【パリのデモ】

1997  –  98年の冬に、ピエール・ブルデューがフランスの失業者運動を「社会的奇跡」と呼び、この運動の最初の成果はその真の存在であると主張しました。  

これは、すべての不安定な労働者に関わる事で、目に見えず、それ故無い事にされて、孤立と沈黙のために、日々その数は増えている…。

ピエール・ブルデュー  

奇跡的ではるかに強力な黄色いベストの突然の出現は、社会のこれまでになく大きなセクションの緩やかな貧困化を示しています。黄色いベストたちは、通常のキー局やメディアに対して、絶対的な不信感(嫌悪感)を示し、指導者もスポークスマンもいないこの運動は、政党を拒絶し、労働組合から距離を保ち、知識人を無視し、メディアを憎みます。 

今日は、先週土曜日にパリのシャンゼリゼで起きた前代未聞の暴力と混乱が発生した3月16日、第18回目の黄色いベスト運動について、現場のレポート、筆者が撮影した画像を交えて見ていきたいと思います。 

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破壊、略奪、放火…第18週黄色いベスト運動【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り

【フーケッツが燃えた】パリの凱旋門

 先週土曜日に行われた第18回黄色いベスト運動、通称「Acte 18」は激しい暴力シーンに特徴付けられました。シャンゼリゼ通りに、12月以来、再び暴力が戻った緊張の1日でした。通り沿いの商店、銀行、レストランが襲撃され、店舗のガラスが割られ、店内が荒らされ、大通りには火を付けて焼かれた商品や家具の残骸が、のろしのように黒い煙を上げていつまでも燃えていました。 

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り
初めから空っぽだったブルガリの商品は無事

フードをかぶり、マスクで顔を覆い隠した黒装束の男たちも、再びシャンゼリゼに集合しました。状況は急展開し、大通り沿いのブティックやカフェが無差別に攻撃されました。LacosteやHugo Bossなどのアパレルブランド、BulgariやSwarovskiなどの宝飾店、Longchamp、Disneyストア、ベルギーのショコラティエ、コスメショップYves Rocher、ジーンズの老舗リーバイス…。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り
レディースは燃やされずに手付かずの状態

略奪された商品は通りに引きずり出され、見せしめとして燃やされました。ニューススタンド数軒が全焼し、いつまでも火種が煙を上げて、焦げくさい匂いがシャンゼリゼ通りから2キロ先まで風に乗って漂っていました。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り
【フーケッツが燃えた】パリの凱旋門

現場では、群衆に向かい治安部隊の催涙弾や爆発物が絶えず発砲されます。逃げ遅れた女性や高齢者が負傷し、あちこちで救助を求める叫び声が聞こえる中、Street Medic たちが奔走して手当に当たりました。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り

有名人や政治家が頻繁に訪れることで知られ、「資本主義のシンボル」とみなされた有名なブラッスリー 、フーケッツ(Le Fouquet’s)は、既に破壊されていました。店内にワインやシャンパンといった酒類は少なく、テーブルやイス、ソファーがガラクタの様に運び出されました。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り

そこで聴いたのは、『ありがとう、壊し屋 ! ありがとう、壊し屋 ! 』と高らかに叫ぶお年寄りや一般市民の声。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り

フリーレポーターのカメラに向かって『フーケッツが破壊されて嬉しい。ルイビトンも宝石店もすべて壊してしまえばいいの ! 』そう叫ぶおばあちゃんさえいます。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り
フーケッツのテラスの前でインタビューに答えるのは毎週デモに現れるおばあちゃんフローレンス 

夕方、フーケッツは再び標的にされ、治安部隊と抗議者の激しい抗争の末、治安部隊の手榴弾(または催涙弾)が日除けの赤いキャンバスの上で着火、その一部とエントランス部分が燃えてしまいました。

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り

治安部隊と消防士以外は、その場の誰もが暴力を容認、または受け入れて、数週間にわたり平和なデモを行ってきた彼らは、もはや平和なデモでは何も変えることが出来ないと学び、黄色いベスト、壊し屋、アンティファ、black blocsが連帯して破壊、略奪し、闘いました。  

以上があの日、私がシャンゼリゼで見た光景と、その場で撮影した写真です。今回のデモでは特に『アンチキャピタリスト』、『アンチファシズム』、『レボリューション』『マクロンの辞任』を叫ぶ声が多く聞かれ、2010年に中東で起こった『アラブの春』や、2011年ニューヨークの『Occupy Wall Street』を想起させました。

内務省によると、この日フランス全体で合計3万2300人が動員し、(先週の2万8600人から少し増加)。パリだけで、全国から約1万人の「黄色いベスト」が集結。Facebook上の「黄色いベスト」参加者数は、土曜日だけで23万766人を記録しています。

『今回の暴力は「残念」なことですが、これはどこからともなくやって来たわけではありません』

【フーケッツが燃えた】パリの凱旋門

黄色いベスト運動の抗議者で若手代表者の一人、マキシム・ニコルは、土曜日の抗議活動についてコメントしています。 

今日、人々が羊になるのをやめたことを、僕は誇りに思いました。
確かに、破壊をもたらしました。
それは残念なことですが、この破壊と暴力はどこからからともなくやって来たわけではありません 。
あなた方(政府)は、あなた方の暴力のせいで苦しんでいる一部の民衆の声に耳を傾けることを拒否しました。
そして今日、あなた方は、その暴力に対する答えを得たのです。
今回の暴力は、『苦しんでいる』民衆と『失うものが他にない』民衆の一部が引き起こしたものです。

マキシム・ニコル 

運動開始以来、政府の躓きに直面した報道機関は極力批判を抑えてきました。黄色いベストの声を届ける既存のメディアは少なく、彼らは主にFacebookのLiveを通して発言します。経済学者と政治学者は「ジャーナリストは単なる観察者ではなく、国を混乱から守る役割を持つエリートの一部であることを忘れないでください」そう警告しています。

『やっかいな田舎者たち』のムーブメント

【フーケッツが燃えた】パリのシャンゼリゼ通り
キオスク前のルイビトンは無傷 

「憎しみに満ちた少数派」が率いる(1月9日、Marianne)、この「厄介でプジャディックな田舎者たちのムーブメント」(12月29日、Jean Quatremer, Twitter)は、「怒りと憎しみの流出」として簡単に説明することが出来る。(12月4日、ル・モンド)

「恨みに消費される売女のような」「敗者と略奪者の大群」)12月13日、1月10日、ル・ポワン )が、彼らの「有害な衝動」に無料で手綱を与える (12月9日、 Le Journal du dimanche)。 新しい田舎者たちは、良心にどれほどの死をもたらすのか?(1月7日、ル・フィガロ) 著名知識人 Bernard-Henri Lêvyは、これら「自身の意志を持つ盲目で裸の憎しみ」(12月13日、ル・ポワン)を心配する一方で、黄色いベストを招いて彼らの怒りを討論に変えようと、ル・パリジャン誌の嘆願書に署名した。(12月7日、ル・パリジャン) パスカル・ブルックナーは「神のおかげで、警察が共和国を「野蛮人」と「フードを被った暴徒」から冷静に救った (12月10日、ル・フィガロ)と書き立てました。  

その様な記事が書かれた各紙を、運動当初から何千、何万部と販売してきたであろうシャンゼリゼのニューススタンドは、この日、焼かれてしまいました。  

マクロンの支援者たちと欧州諸国

Slogan Gilets jaunes "Macron Nuit gravement a notre pays"
抗議者のユーモラスなスローガン
“マクロンは私達の国を著しく害します”

政府は、黄色いベストが国際システムの機能について良く理解していないと主張しますが、金融界や文化界の富豪たちとマクロンの象徴的な関係が、彼の政策は個人的な気まぐれであるという幻想を助長しました。

もはや自国通貨を支配していないフランスにとって、公共サービスはEUの競争法の対象となり、ドイツが予算を一行ずつ精査し、ブリュッセルが貿易協定を交渉します。誰も黄色いベストを邪魔することはできませんが、政府は崩壊していません。むしろ、マクロンに何から何まで恩恵を受けている支持者たちは、今後さらに忠実になるでしょう。

学位保持者、中流階級や大都市の住民など、生活が比較的安定した人たちはマクロンの楽観的な見方を共有しています。マクロンには、ジャーナリストをはじめ、旅先で優雅にバカンスを過ごす余裕があるパリの中流階級以外にも支援者がいます。EUです。再び島国に戻ろうとしているイギリス、問題だらけのハンガリー、反抗的なイタリアを抱えて、EUはフランスなしでは成り立たず、財政波状したギリシャのようにフランスを罰することもできません。

弱体化したマクロンは、新自由主義のヨーロッパにおいて、チェス盤の最後の切り札です。EUとドイツは、たとえ彼らがフランスの致命的な罪を許さなければならないとしても、マクロンが大統領の座に留まることを望んでいます。

3月18日 英国版 The Times

動画でみる黄色いベスト運動:フーケッツが燃えブルガリが襲われたパリのシャンゼリゼ通り

この日私が撮影した動画をまとめたのでよろしければご覧ください。

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