【黄色いベスト】物議を醸すフランス警察の武器【催涙弾とゴム弾の威力】

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■先週で13週目を迎えた黄色いベスト運動は、ますます激しさを増している様子。
■抗議運動や暴動を鎮圧するためにフランス警察が使用する「非致死性兵器」とは?
■警察はフランス市民に対してどんな武器を使用している?

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フランスの暴動『黄色いベストと物議を醸す武器』

催涙手榴弾
Mona Hatoum

死者9人(8人が車にひかれて死亡、80歳の女性が自宅で催涙ガス手榴弾を受けて死亡)に加えて、11月と12月の抗議運動で数百人の抗議者が負傷し、その多くが平和主義な抗議者だった。
彼らの多くは警察のアグレッシブな攻撃の犠牲者である。
※死傷者数は記事が発表された今年一月時点の数字で現在は増えている模様。

しかしまた、暴動鎮圧に不適切な武装を警察と憲兵に提供するフランス政府の頑固さ。
ヨーロッパ諸国のほとんどで禁止されているこれらの武器は、国会議員や非政府組織(NGO)から定期的に非難されてきた。
※maintien de l’ordre 暴動鎮圧

失明、骨折、内出血、肺が破裂するなど、デモ参加者だけでなく高校生やジャーナリストたちが、LBD 40(GL-06)が発射した「防衛弾」による深刻な被害を受けている。

競合のフラッシュボール・スーパープロに代わるものとして、2005年からスイスの製造業社に委託されたこの「LBD 40(GL-06)」は時速300キロ以上の弾薬を発射する。

「重大な怪我や恒久的な損傷といった、致命的な結果を引き起こす可能性が低い」と考えられ「中程度の武器」の範疇に入る。

しかし、トゥールーズで「黄色いベスト」抗議者が12月中旬に目と耳の間に一撃を受けた後に昏睡状態に陥ったように、それは深刻な傷害を引き起こした。

その他、「低致死性兵器」の中には爆薬を含む手榴弾もある。その中には、催涙ガス手榴弾、催涙ガスと同時に爆音によって人にダメージを与える手榴弾GLI-F4、スティングボール手榴弾GMD(ゴム弾)が挙げられ、手脚を切断したり、火傷や2度と戻らない難聴の原因にもなり得る。

  • Armes à létalité réduite 致死率の低い武器 「低致死性兵器」
  • Grenade lacrymogène 催涙ガス手榴弾
  • Grenade de désencerclement à main (GMD) スティングボール手榴弾(ゴム弾)


去年11月24日から12月8日までの間に、少なくとも4人がこれらの武器で手を失った

手榴弾GLI-F4は、2014年にシヴァンス・ダム(Sivens)の建設現場でデモ隊の1人 レミ・フレスさんが死亡した後に禁止された攻撃手榴弾OF-F1に代わって使用されるようになったが、それでも「爆発効果」は保持している。

内務省が警察と憲兵隊の装備を一新しなければ、ボーヴォ広場(内務省所在地)は、在庫が続く限り今後もGLI-F4が発射され続けるだろうと警告している。

「非致死性兵器

平日夜のボーヴォ広場 内務省前

2019年1月 ジュリアン・バルダサラ

以上、ルモンド・ディプロマティック一月号仏語版の記事から抜粋して翻訳。
文中で挙げられている武器は主に5種類。

  1. フラッシュボール・スーパープロ
  2. LBD 40
  3. OF-F1 
  4. GLI-F4 
  5. GMD

現在フランスで大きな非難を浴びているのは以下。

  • LBD 40 (催涙弾/ゴム弾用ライフル銃)
  • GLI-F4 (催涙ガス手榴弾)
  • GMD (スティングボール手榴弾というゴム弾)

「非致死性兵器」の威力

ゴム 弾 死亡 例

Mona Hatoum

結論から言うと、相手を死傷させることなく無力化させるのは不可能で、どのような非致死性兵器でも至近距離から狙われたり、直撃した場合には致命傷を負います。

「非致死性兵器」arme non létale というものは存在せず、使用されているのは  armes à létalitéréduite 死亡率の低い武器「低致死性兵器」。非致死性ではなく低致死という時点で危険だと気付きますが、どのような物なのか(1)から順に見ていきます。
létalité 致死性・死亡率

1.フラッシュボール・スーパープロ(~2009年)

フラッシュボール・スーパープロ

 

  • Verney Caron社 フランス製ゴム弾用二連銃
  • 上下二連の銃で銃身の口径44mm、28gのゴム弾を発射
  • 実用的な使用距離は約数10メートル

2002年、内務大臣だったニコラ・サルコジは、「警察がフラッシュボールを備えれば、団地の不良たちが警察官を襲わなくなる。」として問題の多い団地などの警備部隊によるフラッシュボールの使用を正当化。
この銃は、2005年のClichy-sous-Bois(93県)での暴動の際にBAC(犯罪対策班)が装備。

2009年モントルイユ市で、アトリエとして使っていた病院跡から芸術家たちが強制退去させられたことに抗議するデモで、抗議者が顔面に至近距離からフラッシュボールのゴム弾を受け片目を失明。

2005年から2009年までにフラッシュボール弾を顔面に受けて7人が片目を失い、LBD(防衛弾ランチャー)が代用されるようになりました。

2.LBD 40 (2007年~現在)

ブリュッガー&トーメ社(B&T) スイス製催涙弾/ゴム弾用ライフル銃
暴鎮圧用に催涙弾やゴム弾を発射するグレネードランチャー、40 × 46mmのグレネード弾を使用
射程距離は50メートルで発射速度は時速300キロ以上
半径25メートル以内で相手に致命的な傷害を負わせる

B&T社は、前述2005年にClichy-sous-Bois で起きた暴動の後、短距離で効果的な非致死性の武器を手に入れたいフランス政府の要請によりLBDの製造を開始。2005年末に許可されたLBD 40は、2007年のVilliers-le-Belでの暴動で現場に登場し、すぐにフランスの全治安部隊が装備。
ヨーロッパ諸国のほとんどがその使用を禁止している中で、LBD 40を使用しているのはフランスだけ。

3.OF-F1 (1976年~2014年)

  • フランス製催涙手榴弾
  • 1976年から2014年まで治安部隊により使用された75gのTNT火薬を含む催涙手榴弾。
  • 攻撃型手榴弾で治安維持の一環として使用。

2014年10月、フランス南西部のテスク渓谷で建設が進んでいたシヴァンス・ダム建設に反対するデモで、デモ参加者で学生のレミ・フレスさん(21)の背中に機動隊のOF F1手榴弾が当たり即死。オランド大統領の5年の任期の終わり、2017年の法令により全面的に使用が禁止されました。

4.GLI-F4 (2011年~現在)

催涙ガス手榴弾
催涙ガスと同時に爆音によって人にダメージを与える催涙手榴弾
25gのTNT火薬を含み爆音と爆発効果を持つ

2011年からフランスの治安部隊により使用され、フランスは治安維持のためにGLI F4を使用するヨーロッパ唯一の国。爆破した弾に当たると怪我や手足を切断
2014年シヴァンス・ダムのデモでレミさんが死亡した後に使用が中止されたOF F1手榴弾の代用として使われる。

5.スティングボール手榴弾 GMD(ゴム弾)

grenade de désencerclement à main (GMD)

 

GMD (スティングボール手榴弾というゴム弾)

  • スティングボール弾はラバーボール弾ともいい、数ミリから1センチ程の小さなゴム弾を多数詰めた弾。
  • 着弾と同時に炸裂してゴム弾をまき散らす破砕性。
  • 弾速は通常銃器や手榴弾に匹敵。

至近距離で当たれば大怪我や死亡するだけの威力を持ち、相手の足下や地面に向けて投下し、跳弾させ威力を弱めて人体に当てる。

デモ終了後のシャンゼリゼ通り周辺

先週土曜日の午後、パリの国民議会(Assemblée nationale)前で、若者に片手を失う重症を負わせたのも GLI F4 のようでした。
この日の私は、Youtube の生配信で国民議会(Assemblée nationale)前の暴動を見ていたのですが、
重傷を負ったこの若者の映像をリアルタイムで目の当たりにしました。
それから実際に、デモをしていない夕方から夜にかけてシャンゼリゼ方面を歩きました。
動画も撮影したのでよろしければご覧ください。

催涙弾の入った銃を操作する警官や、職務質問を受ける男性の姿が映っています。
最後は凱旋門の映像ですが凱旋門の真下では警察官たちが謎のセレモニーを行っていました。
いったい何を祝っていたのかは不明。

催涙ガス 死亡

いつもと変わらず大勢の観光客がいる中で、曲がり角ひとつ曲がると、LBD 40 と思われる武器を装備した警察官が立っています。

白いTシャツを着てヘルメットをかぶったグループは、Street Medicsと呼ばれ、負傷した抗議者の救助活動をするボランティアの人たち。

ブルターニュ地方の旗を掲げる人の姿も。

ゴム弾 失明

国家権力 vs 黄色いベストの夜は、当分明けそうにありません。

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