5月23日から26日にかけて、欧州連合加盟27か国から706人の欧州議会議員を選出する2019年欧州議会議員選挙が行われます。
本記事では、EU政策と現在の状況について深掘りしていきます。

欧州議会選挙は、EU共通の問題に焦点を当てるのではなく、27個の国内政策を並べたものだ。ほとんどの政府の投票者は、与党に対して賛成か否かを宣言する。
しかし、各国政府が備える策略の余地は、EU条約(欧州連合基本条約)により大きく制限されている。このような状況で、左派はどんな道を見出せば良いのだろうか。
ルモンド・ディプロマティック仏語、2019年3月号
フレデリック・ロードン – Frédéric Lordon
※Sortir de l’impasse 袋小路のような状況から抜け出る 手詰まりの状態を解決する 難局を切り抜ける
※élections européennes 欧州議会選挙
※scrutin 票 採決 票決
※l’équipe au pouvoir 与党 力のあるグループ
※s’en sortir 処理する 道を見いだす
彼らは、 “黄色いベスト”が具体的な代替政策について質問すれば、今すぐ彼らを悩ませる事だろう。
なぜなら「何か別のこと」をするというアイデアは、条約の壁にぶつかる運命だからだ。
公共サービスを破壊する緊縮政策を緩和したり、政治的正当性の無い独立した中央銀行の民主的異常を取り除いたり、あるいは、金融業界が企業や政府をコントロールする事を可能にする構造を解体して、社会的・環境的なダンピングと暴走したオフショアリング(海外移転)によりゆがんだ競争を終わらせ、国庫補助を取り戻すこと等、社会正義にとって必要不可欠なこれらの措置は全て、EU条約(欧州連合基本条約)で正式に禁じられている。
「社会的ヨーロッパ」後の「民主的ユーロ」は、「一貫性の無い左派」がヨーロッパ問題に直面する瞬間を遅らせることができる代替幻想である。
Yanis Varoufakis(「選挙の春に向けて」参照)からラファエル・グルックマン、そしてブノア・アモンまで誰もが「条約の改正」を望んでいる。しかしはっきりと言おう、条約が改正されることは無い。
通貨、予算、借金または資本の循環問題について再決定すること、つまり、人々の物質的状況に最も重くのしかかる政策を自主的に廃止する事を禁じるほど政界が歪んでいる筈がないと考える人たちにとって、EU条約はただの過ちでしかない。
しかし、それとは反対に、かろうじて隠された目的、特定の利益に有利な経済政策の保護を追求する少数の人々にとって、これらの条約は完全に機能的だ。
この条約には、50年以上にわたり、金銭的および予算的な正統性が、ナチズムに対する唯一の防衛策であると自覚してきたドイツの神経症的なコミットメントのために触れることができない。
以上、ルモンド・ディプロマティック3月号フランス語版の一面記事冒頭を私なりに訳してみました。
ざっくりまとめると
◆緊縮政策→公共サービスを破壊
◆独立した中央銀行→民主的異常
◆金融界→政府と企業をコントロール
◆オフショアリング(海外移転)→ゆがんだ競争の強化
◆条約改正→不可能
以上の点から、労働者階級の不幸を引き起こすEU条約は社会的な過ちであるという見解でした。
しかしながら、特定の利益に有利な経済政策の保護を追求する少数の人々にとって、EUの条約は大変機能的なのです。
EU条約は緊縮財政を強要し、政府による金融部門の統制を促進、労働者階級の不幸を引き起こす。しかし、それらを修正することは、ドイツの撤退とユーロの崩壊につながるだろう。
緊縮財政を終わりにするべきではないでしょうか。
2008年の金融危機から11年が経とうとしている今、
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